siihouseを始めて間もない頃、斜め向かいにある加納外科さんのご家族が、僕が生まれ育った山形県の雪深い田舎町に暮らしていたという事を知りました。遠く離れた小さな町なので世間は狭いなぁと驚きましたが、さらにその息子さんは僕と同じ小学校に通う隣のクラスの健司くんだという事がわかり、こんな偶然があるのかととても驚きました。
小学校卒業と同時に彼は茅ヶ崎に引っ越してしまいましたが、それまでの4年間、同じ校庭を駆け回り、同じ雪で遊び、同じ夏祭りに心を踊らせた地元の同級生です。
500キロ離れた辻堂での数十年ぶりの再会は、すぐ側に故郷の友達がいるという安心感を与えてくれました。
それから10年の年月が流れ、移転を余儀なくされた僕たちは新たな拠点探しに頭を悩ませていました。慣れ親しんだ辻堂での存続はむずかしいのかなぁと、どこか捨て鉢になっていた矢先、加納外科さんからお声がけを頂き、旧病院建物を使わせて頂ける事になりました。思いもよらないありがたいご提案と、その暖かさに目頭が熱くなりました。
長い間、地域に愛されてきた病院の歴史と面影を残しながら、どのように自分たちの表現をしていくか課題は山積みですがとてもわくわくしています。
寒い雪国が紡いでくれたあたたかいご縁を大切に、新しいお店作りに精進したいと思います。
今後ともsiihouseを何卒よろしくお願い申し上げます。
荒木周一郎
荒木遥
※ すでにご承知の通り、加納外科さんは令和6年3月に旧siihouseの隣地に移転されました。明るく綺麗な病院で優しい院長先生のお父さんと、僕の友達の健司くんが診てくれます。